はじめに
小沢健二さんが日本時間の2020年2月1日(米国時間では2020年1月31日)に、公式Instagramと公式Twitterで、"NYCのお洒落ホテル"の電話について投稿しました。
なお、公式Instagramでは、電話の内容に加えて、そのホテルのグラフィックデザインの内容についても述べていました。
これらの投稿について気になったので、調べてみました。
小沢健二さんの投稿
まず、Instagramの投稿がこちらになります。
※2/14/20に確認したところ、Instagramの投稿は削除されていました。
そのため、以下にInstagramの投稿のキャプション部分を引用させて頂きました。
NYCのお洒落ホテル。部屋の電話の「議員に電話」ボタン一発で、宿泊客は自分の選挙区の国会議員公用番号に電話できる。喋り方の手引きには「__と申します。__議員に__について__してほしい」と丁寧に、秘書は賛否の数を議員に渡すので手短に、と。「投票は民主政のほんの一部にすぎない」という感覚。 (デザインの話)大阪の赤い壁をデザインしたのが12月。その後1月にこのホテルのグラフィックを見て「やっぱ赤白黒って良いなあ」と思いました。白黒の豪華版というか。自分の赤白黒デザインは2016年の「魔法的」本が気に入ってます。復刻しようか、どうする? #humansareallpoliticalallthetime #ringyourrep #newyork #tokyo #red #black #white
小沢健二 Ozawa Kenji(@sokakkoii)がシェアした投稿 - 2020年 1月31日午後8時17分PST, Instagram
加えて、デザインのTwitterのツイートを以下に掲載します。
NYCのお洒落ホテル。部屋の電話の「議員に電話」ボタン一発で、宿泊客は自分の選挙区の国会議員公用番号に電話できる。喋り方の手引きには「__と申します。__議員に__について__してほしい」と丁寧に、秘書は賛否の数を議員に渡すので手短に、と。「投票は民主政のほんの一部にすぎない」という感覚。 pic.twitter.com/Iu1kxJ3Hvm— Ozawa Kenji 小沢健二 (@iamOzawaKenji) January 31, 2020
この投稿を見たとき、日本にもこうやって直接かつ簡潔に自分たちの声を届けられる方法があればいいのにな、と思いました。
しかしこの投稿の内容に関しては、色々と分からない点もありました。
- ”Ring Your Rep”とは?少し説明はしてくれていますが、経緯やどういう団体がやっているのかなどの詳細がよくわからない。
- この電話は全米のホテルにあるのか?それともこの「NYCのお洒落ホテル」にしかないのか?
- この「NYCのお洒落ホテル」とは一体どこなのか?
- 小沢健二さんは何故このホテルに泊まったのか?
これらの点について、気になったので調べてみました。
”Ring Your Rep”とは?
”Ring Your Rep”とは、小沢健二さんがInstagramで書かれているように、自分の選挙区の国会議員公用番号に直接電話ができるシステムのようです。
しかも内容を簡潔に述べられるように、喋り方もフォーマット化されています。
部屋の電話の「議員に電話」ボタン一発で、宿泊客は自分の選挙区の国会議員公用番号に電話できる。喋り方の手引きには「__と申します。__議員に__について__してほしい」と丁寧に、秘書は賛否の数を議員に渡すので手短に、と。
— Ozawa Kenji 小沢健二 (@iamOzawaKenji) January 31, 2020, Twitter
#ringyourrep でinstagramを見てみると、小沢さんの投稿写真の電話のボタンにもあったような、受話器の入った丸いマークが付いた電話ボックスや公衆電話の写真がありました。凄く沢山の投稿があります。
しかもどの投稿もお洒落。いわゆる「インスタ映え」ですね 笑。
小沢健二さんが投稿したカードはこれのようですね。
#ringyourrep の他に #thestandard というハッシュタグがあります。
投稿した写真の中にも「The Standard」という場所のタグが。
どうやら「The Standard」というのはホテルのようです。
「Ring Your Rep」「The Standard」でググってみると、米国版Vogueの記事に辿り着きました。
この記事には、The Standard Hotelが"Ring Your Rep"を始めた2017年当時のことが記載されていました。
The Standard Hotel's Ring Your Rep Makes Activism Easier Than Ever
The Meatpacking District's Standard Hotel is more than just a perennial hot spot with a killer view of the Hudson River. After the presidential election, the hotel chain, which has multiple locations in New York, Miami, and Los Angeles, started flexing its activist muscle with a series of initiatives aimed to help mobilize the resistance.
Vogueによると、"Ring Your Rep"とは、The Standardがアメリカ国内にある自身のホテルそれぞれに設置した、国会議員公用番号に直通する公衆電話ブースのようです。
アメリカ国内のThe Standardの5つのホテルの施設全てから、国会議員公用番号を通じて代表者の室内ダイヤルを指示をすれば、自分が支持する議員に自分の声を届けられる、というシステムのようです。
ホテルの室内電話からも利用できるようですが、ホテル利用者のみならず、アメリカの各地にある5つのホテルの施設内に公衆電話ブースが設置されており、全ての人々が利用可能のようです。
Vogueによれば、2016年の大統領選挙、今のドナルド・トランプ氏が大統領になったことを受けた活動のようです。
どうやらこのホテル、ただの"NYCのお洒落ホテル"ではないようですね。
"NYCのお洒落ホテル"とは?
「The Standard」、このホテルについて調べてみると、HPがありました。
赤と白と黒を基調としたお洒落なHPで、"Ring Your Rep"のカードのデザインにも共通しています。
Boutique Hotels | The Standard Hotels - Official Website
Standard Hotels has redefined boutique hospitality. Our collection consists of trendy hotels in Los Angeles, Miami Beach, New York City, London and beyond. We focus on a one-of-a-kind experience that can only be found at one of our 6 locations.
Vogue日本版にもホテルの記事がありました。
記事の写真はNYCのTHE STANDARD HIGH LINEというホテルですが、小沢健二さんが言われているように、確かにお洒落ホテルですね。
ザ スタンダード ハイライン(THE STANDARD HIGH LINE)
848 Washington Street, New York City, NY, USA ホテル王アンドレ・バラス率いる「スタンダード・ホテル」が、ようやくニューヨーク入り。これまで、既存の建物を才気あるリノベーションでスタイリッシュなホテルへと変身させてきたことで知られる同社。NY進出に時間を要したのは、これが初めて挑む新築物件となったからでしょう。 ...
また、英語ですが、Wikipediaにも記載がありました。
Standard Hotels
The Standard Hotels are a group of five boutique hotels in Los Angeles ( Hollywood and Downtown LA), New York City ( Meatpacking District and East Village) and Miami Beach. The hotels are operated by Standard International Management. The first Standard Hotel, The Standard Hollywood, opened on the Sunset Strip in 1999 in West Hollywood, California.
- The Standard Hotels
スタンダード・ホテルズ(The Standard Hotels)は、ロサンゼルス(ハリウッドとLAのダウンタウン)、ニューヨークシティ(ミートパッキング・ディストリクトとイーストビレッジ)、マイアミビーチにある5つのブティックホテルのグループです。ホテルは、Standard International Managementによって運営されています。
歴史
最初のスタンダード・ホテル、スタンダード・ハリウッド(The Standard Hollywood)は、1999年にカリフォルニア州ウェストハリウッドのサンセットストリップにオープンしました。 このホテルはアンドレ・バラス不動産(Andre Balazs Properties)によって開かれました。
現在、スタンダード・ハリウッドとして提供されているこの建物は、元々1962年にサンダーバード・モーテル(Thunderbird Motel)として建てられ、バラスが購入して改築したときには老人ホームとなっていました。ハリウッド・ホテルへの最初の投資家は、レオナルド・ディカプリオ、キャメロン・ディアス、ベニシオ・デル・トロ、ダーシー・レツキー、ジェームズ・イハでした。
2002年に、Superior Oil Company Building(1956年に完成)として知られていた12階建ての大理石張りの建物が、The Standard Downtown LAに改装されました。この改修は、 Koning Eizenberg Architecture, Inc.によって設計され、屋上プールとバーの追加、および古い銀行ホールから再構成された2階建てのロビースペースが含まれていました。
2003年に、この建物は国立史跡(the National Register of Historic Places)に登録されました。
2006年、スタンダード・ホテルはマイアミビーチに拡大し、マイアミビーチにスタンダード・スパをオープンしました。ビスケーン湾に位置するスタンダード・スパ・マイアミビーチは、ホリスティック(holistic)かつハイドロセラピー(hydrotherapy)に基づいたスパホテルです。
2008年、The Standard Hotelsブランドは、The Standard High Lineの開設により、これまでで最も野心的なプロジェクトを完成させました。古いスペースを改修するのではなく、ブランドが最初からプロパティを構築したのはこれが初めてでした。デザインは、エニアード・アーキテクト(the Ennead Architects)の仕事でした。
2011年、アンドレ・バラズ不動産は、クーパー・スクエア・ホテルの買収を完了しました。建物は解体され、スタンダード・イーストビレッジが再建されました。
2013年秋、ブランドの創設者であるアンドレ・バラズは、同社の80%の株式をスタンダード・インターナショナル(Standard International)に売却しました。
-Wikipedia "Standard Hotels"
The Standard Hotelは元々はホテルのリノベーションから始まったようですね。
現在ホテルはNYC2ヶ所、LA 2ヶ所、Miamiのほかに、London、Malvivesにもあるようです。
HPやホテルの写真を見ても非常にスタイリッシュでお洒落です。
でも、単なるお洒落なホテルではないようです。
まず、ホテルのロゴ。赤い背景に白い文字。
そして「The Standard」という文字が反転しています。
「The Standard」という名前でありながら、文字をわざわざ反転させる辺りが、ちょっと奇をてらっている感じがありますよね。
ん?このロゴの感じ、どこかでみたような...?
“Pedal to the metal”とは「アクセルベダルpedalを車の鉄metal製の床に押しつける」で「爆走する」の意味。今日と明日の『飛ばせ湾岸』の英題: WANGAN PEDAL TO THE METAL kakkoii Tと絵コンテT、銀箔でピンクの洗濯タグです。インスタ https://t.co/CS0BOAvhTN #小沢健二 #ozkn pic.twitter.com/eNNqwNV2yx— Ozawa Kenji 小沢健二 (@iamOzawaKenji) November 11, 2019
あっ、「飛ばせ湾岸」ツアーTの「So kakkoii」ロゴと同じ反転ですね!
でも、こっちは鏡で映したような反転だからちょっと違うか...。
また、このホテルは "Ring Your Rep"のサービスを行っているだけあって、日常の様々なことに対する問題意識が非常に高いホテルのようで、HPに色々と記事が書かれています。
例えば、先述のVogueの記事にもリンクが貼られていた「The Standard Stands Up: A Statement」という記事では、The Standardの立場が記載されています。
A Statement for Activism | The Standards - Protecting Core Values
The Standard has always set out to be more than a collection of rooms. Sure, the sheets are soft as butter and the cocktails are mixed to perfection, but our underlying mission is to bring people together in ways that allow their differences to shine through and their inhibitions to fall away.
- The Standardは立ち上がる:声明
"The Standard" Article, 2017年3月1日
私たちはお客様と従業員と連帯し積極的で生産的な活動の復活を支援します。
The Standardは常に客室の集まりとしてのホテル以上の存在になるように設定されています。確かに、シートはバターのように柔らかく、カクテルの調合も完璧ですが、私たちの基本的な使命は、違いを輝かせ、阻害をなくす方法で人々を結びつけることです。私たちは、世界中の人々をおもてなしできることを光栄に感じており、それは私たち従業員の多様性(the diversity)にも示されています。
互いに結びつくこと(interconnection)や自由な自己表現(radical self-expression)、旅行の精神(the spirit of travel)を称える共同体として、私たちはこれらの価値に対する脅威に反対します。The Standardは、その声、その空間、および創造性を、持続的な社会の進歩を支援する積極的かつ生産的な活動に用いることを奨励します。
The Standardの編集者の声(editorial voice)として、Standard Cultureもその任務の一つです。今後数か月にわたって、これらのページで、私たち自身や他の人たちが良いこと(the good work)をしている人びとや団体を紹介していきます。私たちは、参加するための実用的な方法を提供します。私たちは、アート、音楽、文化、運動において象徴的な人物に目を向けますが、それらは私たちが前へと進むための助けとなるインスピレーションやガイダンスとなりうるものです。
-The Standard Stands Up: A Statement, The Standard.
そして、人びとが行動に移すためにすべき10のことを「10 Practical, Tactical Ways to Take Action10」という記事であげています。
Getting Involved With The Community | The Standard - Taking Action
If 2017 has taught us anything, it's that complacency is a luxury that none of us can afford. At this point, there's only one thing to do: swing into action and put our shoulders to the wheel of progress. But where to start?
-10 Practical, Tactical Ways to Take Action10, The Standard.
- 行動を起こすための実用的で戦略的な10の方法
"The Standard" Article, 2017年3月1日
参加をし、汗を流して行動し、違和感を感じよう。
もし2017年が私たちに何かを教えてくれたとすれば、それは私たちの誰もが手に入れることができない自己満足は贅沢だということです。この時点で行うべきことは1つだけです。行動に移して、努力しましょう。でも、どこから始めたらいい? 私たちは、様々な方法で良いこと(the good work)をしようとしている人々にその方法を尋ねたところ、それは私たちが提案している幾つかのガイダンスよりも更に多くのやり方があったので、それらをすべて1つの簡単なリストにまとめました。ここには問題(the cause)に貢献する幾つかの方法があります。
1
グラウンドレベル(ground level)で政府に関与しましょう。地区や州の代表者の市役所の会議スケジュールに従って、出席し、質問し、顔を合わせて変化を要求できます。或いはRun for SomethingやShe Should Runなどの組織と一緒にあなたの事務所を立ち上げましょう。
2
オスカー・ワイルド(Oscar Wilde)はこう言っています。「我々は皆、ドブの中で暮らしている...でもそこからポッドキャストを聞いている奴らもいるんだ。」Pod Save Americaをチェックしてください。そこではオバマの下で働いていた人たちが、この混乱についてどうするかについて話しています。それから、With Friends Like Theseという彼らの他のポッドキャストを聞いてみてください。そこではアナ・マリー・コックス(Ana Marie Cox)がアメリカのあらゆる分野の人々と政治的問題についての自分の意見について語っています。どちらも怖くて、面白くて、刺激的で、あなたを賢くします。
3
子供と時間を過ごしてください。彼らは未来です。私たちがいなくなったら、彼らがこの混乱に対処しなければなりません。数学、科学、読書、英語など、教えるべきことがたくさんあります。Big Brother / Big Sisters NYCをチェックするか、地元の学校で子供を指導するボランティアをしてください。ロサンゼルスにいる場合は、Alma Community Outreachに参加してください。そこでは、料理、園芸、マインドフルネス*1のクラスをRampartの低所得者の学生に教えています。
4
幾つか芸術を見に行きましょう。ビジュアルアート、映画、演劇、コメディのいずれであっても、私たちはアートがあなたにとって良いものであると固く信じています。それはあなたに挑戦します。他の人の視点を見ることができます。それはあなたに希望を与えます。それは良いことだらけです。ニューヨークにいる場合は、Brooklyn Museumの Marilyn Minter、New Museumの Raymond Pettibon、The SchoolのAndres Serrano、High Lineのパブリックアートをご覧ください。 LAにいる場合は、 LACMA、The Broad、The Cinefamilyに行ってみてください。マイアミにいる場合は、PAMM、Locust Projects、 Wolfsonian-FIUをご覧ください。
5
何かのためにデモ行進(march)をしてください。デモ行進があれば、行ってください。あなた自身のデモ行進を始めましょう。友達と行きましょう。あなたの連帯を示してください。顔を見せることが重要です。 NYCでの抗議については、こちらをご覧ください。全国的な運動の案内については、こちらをご覧ください。
6
あなたの代表者に美しく響くあなたの声を届けてください。呼び出しがカウントされます。彼らは違いを生みます。あなたの郵便番号を書いて(520)200-2223に送信すると、すべての代表者の名前と番号が記載されたテキストが届きます。
7
友達と協力し、集会を組織し始め、お互いに責任を持つようにしましょう。人数が多ければ多いほど強みになります。アクティビズム(activism)とあなたがやりたい他のこととが噛み合うやり方を見つけてください。Indivisible Guideをダウンロードして学習してください。
8
Black Lives Matter*2をサポートします。行進、集会、会議に参加してください。 ここから始めましょう。
9
あなたのように見えない、あなたのように話せない、異なる人生経験をしている人々と時間を過ごす努力をしてください。 Volunteermatch.orgは始めるには最適の場所です。あなたが作家タイプなら、PENは素晴らしいプログラムを実行します。
10
あなたと同じ特権を持っていない人を擁護してください。移民の権利を保護し、彼らがわが国で最も成功するように支援するために、Caracenと共にボランティアをしてください。トランスジェンダーの平等のための国立センターのAction Centersを通じてトランスジェンダーの平等をサポートします。 GLSENを通してLGBTQの若者の仲間になりましょう。
The Standardの「声明」や「行動を起こすための実用的で戦略的な10の方法」を読んでみると、小沢健二さんが言われていたように、The Standardのこうした考え方の背景には、アメリカの人びとには「投票は民主政のほんの一部にすぎない」という感覚が根付いているのかもしれません。
"NYCのお洒落ホテル"の場所は?
小沢健二さんが泊まったホテルはThe Standardで間違いないようですが、The StandardはNYCに現在次の2箇所が存在しています。
- The Standard High Line
- The Standard East Village
どちらもNYCマンハッタン区ダウンタウンのグリニッジ・ヴィレッジ (Greenwich Village)に位置しています。
The Standard East Villageは、East VillageにあるCooper Squareの一角に位置しているリノベーションホテルです。
一方、The Standard High Lineは、West Villageの北西ミートパッキング・ディストリクト(The Meatpacking District)にあり、NYCの廃線となった貨物鉄道の高架の上に新築されたホテルです。
ここで1点気になることが。
East Villageのように、元々The StandardというホテルはLAのモーテルをリノベーションしたことに端を発しています。
USの他のホテルはいずれも、既存の施設をリノベーションすることによって運営されてきました。
しかし、The Standard High Lineは、わざわざこの場所にホテルを新築したのです。
なぜわざわざこの場所に新築をしなければならなかったのでしょうか。
そのヒントは、どうやらHigh Lineという名前の由来にあるようです。
Visitor Info | The High Line
Park update: On Wednesday, March 4, the section of the High Line from 30th St. & 11th Ave. to 34th St. will be closed for the day. Close Alert 250 members needed by 3/13 Close Alert Park access & info + - Access to the High Line is possible via any of the access points listed below.
High Lineのサイトがありました。ここの「Visit」には、こう書かれてありました。
ハイラインは、マンハッタンのウエストサイド通りの上にある歴史的な貨物鉄道線の上に建設された公園です。近隣住民やニューヨーク市による破壊から救われたハイラインは、2009年に訪問者が自然、芸術、デザインを体験できるハイブリッドな公共スペースとしてオープンしました。
-The High Line
どうやらHigh Lineとは、貨物鉄道の廃線を利用した公園のようですね。
緑化がなされ、芸術的なオブジェなどが立ち並ぶ、ニューヨーカーにとっての憩いの場となっているようです。
このHigh Lineの公園ができた経緯について調べてみると、興味深いことが分かりました。
かつてのNYCを支えたこの歴史ある貨物鉄道線は、長い間放置され、草木が生い茂るほど荒れ果てていたようです。
一部の都市探検家の間では、その荒れ具合や生い茂る草木の景観がとても魅力的に映ったようで、ちょっとした探検スポットになっていたようでした。
しかし、その廃線もいつしか取り壊しの計画が立つようになりました。
それを知った近所に住むある2人の人物は、その歴史ある貨物鉄道線を守ろうと非営利団体"Friends of the High Line"を設立しました。
廃線を公園に転用する新たな都市開発構想。それを実現させるために、市民への募金活動などの地道な活動を行うことで徐々に賛同者を増やしていったと言います。
その地道な活動が実を結び、取り壊しの計画は中止され、2009年の公園設立へと至ったようです。
つまりこの場所は、NYCの再開発の対象となっていたが、人々の反対運動によって守られ、公園として生まれ変わったのでした。
そうした場所に、このThe Standardというホテルが建っている。
これはThe Standardにとって非常に象徴的な出来事ではないだろうか、と思いました。
"NYCのお洒落ホテル"に泊まった理由は?
小沢健二さんは何故このホテルに泊まったのでしょう?
小沢さんはこれまでの自身の発言から、NYCに住居を構えていると思っていました。
だとしたら、わざわざこのホテルに泊まる必要はないような気もしますが...。
もしかしたら、本格的に日本で暮らし始めたことで、その生活の仕方が変わったのかもしれませんね。
この謎についてははっきりとはわからないのですが、2020年1月の小沢さんのSNSの投稿を調べてみると、その目的の一つが分かりました。
こんなお助けペンギンでスイーッと滑れるリンクが銀座か梅田あたりにあったらな。氷が溶けちゃうか。NYシティは北国、緯度は青森くらい。ロッカフェラーセンターのツリーの下にリンクがあったり、スケート文化がある。いきなりスーツで滑り出す人もいるぞ。と、本日は甘口のツイート。 pic.twitter.com/RwNwYU85a7— Ozawa Kenji 小沢健二 (@iamOzawaKenji) January 7, 2020
小沢健二さんのご長男、りーりーがお助けペンギンを使ってスケートをしていたこのアイスリンクは、実はThe Standard, High Lineの一角にあったのです。
HPにも「The Rink」の紹介が書いてあります。
The Standard - the rink Culture
New York-skate Sharpen your blades and pin down your wigs --- Milk is Hot On Ice! The figure skater and drag sensation is back at The Standard, High Line on February 12th for another night of twirling, swirling, and dancing around The Rink. Read More PLEASE ROTATE YOUR DEVICE FOR THE STANDARD EXPERIENCE.
Skating Rink At The Standard - Meatpacking District Official Website
The Standard, High Line skating rink is open for some serious skating business. The chicest rink in the city is ready to get you in the holiday spirit. Step right up for three or four hot-ciders, a spiked hot toddy or hot chocolates (black & white).
今期の「The Rink」の案内を書いた記事は時期が終わり2月いっぱいで削除されてしまいましたので、The Standard, High LineがあるミートパッキングディストリクトのHPに記載されていた案内のページを載せておきました。
どうやら冬の間だけアイスリンクが開設されるようですね。
アイスリンクの壁の雪の結晶のマーク、ロゴを隠してはありますが、これはThe Standard High Lineのアイスリンクのロゴマークのようです。
Instagramに投稿したこちらのアイスリンクと同じ場所です。
同じ雪の結晶のロゴマークがありますね。
また、写真の右奥の柱にうさぎのマークのグラフィティがあります。
これは、グラフィティアーティスト"INVADER"氏の作品です。
先程のHPのTHE RINKのトップページの写真にもそのグラフィティがありますね。
Invader - Home
Invader
余談ですが、INVADERさんの作品、好きなんですよね。
世界中の街の至る所に彼の作品があるのですが、東京でも沢山見られるんですよ。
ファミコンを思わせるどこか懐かしい8bitのキャラクターがとてもかわいいですよね。
東京の街を散策している時に彼の作品を見つけると、とても嬉しくなります。
なお、既に削除されていますが、1月初めに小沢健二さんが投稿した、NYCに雪が降った際のInstagramの投稿も、調べてみると写真にこのホテルの周辺のビルが映っていました。
従って、恐らくこの投稿写真もThe Standard High Lineから撮ったものだと思われます。
まとめ
かつてのNYCを支えた歴史ある貨物鉄道線が再開発に対する人びとの反対運動によって守られ、High Lineという公園として生まれ変わった。
そしてそこに、The Standard High Lineが建設された。
トランプ政権が誕生した大統領選挙をきっかけに、The Standardは、人びとが直接的な声を届けることができるようにと、ホテルの室内電話や施設内の公衆電話で自分の選挙区の国会議員の公用番号に電話できる"Ring Your Rep"というシステムを作った。
その見た目のお洒落さとスタイリッシュさ、分かり易さも手伝ってか、InstagramなどSNSでは、"Ring Your Rep"を使って電話をする多くの人びとの姿が、#ringyourrepのハッシュタグとともに投稿されている。
そしてこのホテルに小沢健二さんがいた。
りーりーをアイスリンクに連れて行きたかったのもあるのかも知れませんが、単にそれだけなのでしょうか。
"Ring Your Rep"の投稿、これはたまたまホテルに泊まった際にこのことを見つけただけのことだったのでしょうか。
今回のことを調べてみて、意外にもアメリカの政治に対する意識と都市開発に関する市民の運動について知ることになりました。
これは私が今関心を持っている、都市の再開発と我々とのかかわりを知る上で非常に重要かつ興味深い事例でした。
言葉は都市を変えてゆく。
小沢健二さんは近年、東京という街について、様々な観点から、私たちに何かを投げかけようとしているような気がしています。
もしかすると、小沢健二さんは、日本とは大きく異なる、こうしたアメリカの事例を私たちに知って欲しかったのかもしれません。
参考文献
NYCのHigh Line公園に関するレポートがありましたので、リンク先を載せておきます。
都市開発や都市の景観のあり方に興味のある方は是非読んでみて下さい。
「廃線を活用した都市公園開発~ニューヨーク・ハイライン公園の成功に学ぶ~」(PDF) (財)自治体国際化協会 ニューヨーク事務所, 2014.
脚注
*1:マインドフルネス(Mindfulness):ジョン・カバット・ジンが慢性的なストレスを軽減するプログラムとして臨床分野で成果を上げた「マインドフルネスストレス低減法」を基にした、瞑想やヨガを取り入れたエクササイズ。企業内での人材育成や学校教育への導入が広がっている。
参考:「マインドフルネスとは何か?その正しい意味が知りたい人へ」
*2:ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter):国際的社会運動の一つ。日本語に訳した場合「黒人の命も大切だ」と言った意味。アフリカ系アメリカ人のコミュニティが発足者となり、黒人に対する暴力や形式的な人種差別の撤廃を訴えるものである。特に白人警官による無抵抗な黒人への暴力や殺害、人種による犯罪者に対する不平等な取り扱いへの不満を訴えている。
引用元:Wikipedia「 ブラック・ライヴズ・マター」
この記事は、クリエイティブ・コモンズ・表示・継承ライセンス3.0のもとで公表されたウィキペディアの項目「Standard Hotels」と「ブラック・ライヴズ・マター」を素材として二次利用しています。
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