はじめに
ラブリーRSEについて
ラブリーRSE、突如配信
2022年12月20日、小沢健二さんの名曲『ラブリー』のリマスター版『ラブリー(Remaster Short Edit)』が突如配信されることになりました。
『ラブリー』をリマスターして3分短くした“Remaster Short Edit”、このあと0時に配信開始。#ラブリーRSE
— Ozawa Kenji 小沢健二 (@iamOzawaKenji) December 20, 2022
透明アナログ盤7インチ、今から抽選受付開始。https://t.co/kLvbTB1cS4
そして24日24時、6月のツアーから『アルペジオ/いちょう並木』のライブ映像など、配信します。https://t.co/Un7ZC2MQLB pic.twitter.com/UKucr73rbL
印象的なイントロは無くし、美しいストリングスを背景としたサビから始まります。
一部配信サイトでは96kHz/24bitのハイレゾ音源も販売されました。
ラブリーRSEテレビ披露
そして同年12月23日(金)、テレビ朝日系『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE2022』において、『ラブリーRSE』がテレビで披露され、コーラスで和田彩花さんが出演されました。
コーラス、和田彩花さんにお願いしました。かっこいい。#Mステ
— Ozawa Kenji 小沢健二 (@iamOzawaKenji) December 23, 2022
#ラブリーRSE 公式プレイリスト
更に、著名人による #ラブリーRSE 公式プレイリストを随時公開することも決まりました。
小沢健二「ラブリー」をリミックス&リマスタリング、全国ツアー映像を2曲公開
また本作のリリースを記念してSpotifyではプレイリスト企画がスタート。ANI(スチャダラパー)、夢眠ねむ、STUTS、楢崎誠(Official髭男dism)、EXILE NAOTO(EXILE、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)、空気階段、FM802のDJ・土井コマキ、作家・川上未映子らが「ラブリー(Remaster Short Edit)」を含むプレイリストをそれぞれ作成する。明日12月21日0:00には第1弾として、漫画家・ネルノダイスキによるプレイリスト「机作業がはかどるミックステープ #ラブリーRSE 選曲・ネルノダイスキ」が配信される。
※ Spotifyによる #ラブリーRSE 公式プレイリストをまとめたページはこちら。
ラブリーRSEグッズ販売
※受付期間は2022年12月23日(金)17:00~2022年12月27日(火)23:59まででした。現在は販売されていません。
ラブリーRSEアナログ7インチ盤の抽選販売
そして何と、2023年1月初旬、抽選という形ではありますが、小沢健二『ラブリー Remaster Short Edit』 アナログ7インチ盤が販売されることになりました。
94年の録音当時スタジオに持ちこんでいた僕のターンテーブル実機で、もうできている透明アナログ盤『ラブリーRSE』を撮影しました。音はリマスターでくっきり。オフィシャルプレイ動画です。笑https://t.co/mFgsqzDQZf
— Ozawa Kenji 小沢健二 (@iamOzawaKenji) December 20, 2022
もう繋がるのかな、https://t.co/kLvbTB1KHC。ぜひ当ててください! #ラブリーRSE
ラブリーRSEアナログ盤の抽選申し込み締め切りは2023年1月4日23:59、当選発表は1月11日、発送は1月下旬でした。
ラブリーRSEアナログ7インチ盤プレゼント企画
更に更に、アナログ盤の当選発表後、#ラブリーRSE プレイリストを作成した方の中から抽選で『ラブリー Remaster Short Edit』 アナログ7インチ盤をプレゼントするという企画も登場。
透明アナログ盤抽選、先ほどから当選メール送付中です。人気高く、本当感謝です。
— Ozawa Kenji 小沢健二 (@iamOzawaKenji) January 11, 2023
最後に12/20〜1/24に公開されたプレイリストを #ラブリーRSE 審議会で審議の上、7名の方に透明盤ラブリーを差し上げます。
プレイリスト、Spotify以外のサービスで作っても大丈夫です。詳細はユニバから近日。 https://web.archive.org/web/20230123063942im_/https://pbs.twimg.com/media/FmKxkn6aYAEtcki?format=jpg&name=medium
当選者は2023年1月26日のFM802のDJ・土井コマキさんの番組『EVENING TAP』で、発表されました(小沢健二さんの登場は19時台でした)。
浅井博章,土井コマキ|EVENING TAP|FM802FM802は関西を含む一部の地域のみの放送の為、小沢健二さんや番組スタッフの方々のご厚意により、インスタグラムの小沢健二公式アカウントにおいてインスタライブが行われ、ラジオ番組の生放送の一部、当選者発表を読み上げた個所が流されました。
レコード盤面に描かれた蝶について:分析資料
これらの蝶のデザインは2階調で表現されているため、色などの要素は同定において利用できませんが、この描き方でも幾つかの情報を得ることが出来そうでしたので、今回これらの蝶の同定を試みてみました。
チョウの同定を試みてみた:分析方法
生物学における生き物の同定、分類法としては、昔から形態的特徴に基づいて分類を行う形態分類が行われてきました。
近年ではDNA、遺伝子解析により分類を行う方法も確立されてきています。
ただ、今回は図柄なのでDNA解析は出来ないため、形態的特徴のみに基づいて分類を行うことになります。
今回のデザインは、モノクロではありますがイラストではなく、シルエットなどから非常に写実的なデザインであると考えられることから、実際のチョウの写真などを基にそれをモノクロ2階調にし、デザイン化されたものであると考えられます。
よって、このデザインから成虫のチョウの形態的特徴がある程度捉えられると想定し、形態に基づいて同定を試みてみます。
(もちろん、私はチョウの専門家ではないので、結果についてはおおめに見てくださると有難いです)
チョウの形態的特徴について
チョウの成虫は翅、体、脚に分けられます。
また、チョウの翅は前翅が2枚、後翅が2枚、計4枚に分かれます。
脚は前脚、中脚、後脚が左右1本ずつ、計6本あります。
翅脈は翅にみられる気管や神経を通すための中空の筋です。
翅脈はその分布の仕方が種によって異なるため、分類上重要な特徴になるそうです。
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図1.小沢健二「ラブリー(Remaster Short Edit)」アナログ盤 |
まず、こちらの盤面に描かれたチョウを、その形態に基づき大まかに分類してみました。
チョウは3種類存在する?
アナログ盤の盤面においてチョウと認識できるものは、中央のラベル部分に3匹、レコード盤面の読み取り部分に少なくとも4匹、それぞれ存在します。
写真上部のまだら模様が線状に連なっているものもチョウである可能性も否定できませんが、今回は分類可能なものに絞ってみます。
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[図2.アナログ盤面に描かれたチョウ C-1~C3, L-1~L4] |
ラベル部分のチョウを上部から時計回りにC-1(ピンク), C-2(黒), C-3(黒)と名称を付けます。
読み取り面部分のチョウも同様に、L-1(黒), L-2(黒), L-3(黒), L-4(黒)と名称を付けます。
翅の模様を大まかに分類してみると、C-1, C-2, L-2, L-4は前翅と後翅の形態および後翅の白い帯状の模様が一致しているため、同じ種である可能性が高いです。
また、L-1とL-3は白地に放射状の黒い線、斑模様が共通しており、同じ種類である可能性が高いです。
C-3は白地の翅で前翅に三角の大きな黒い斑があるのが特徴ですが、C-1の種やL-1の種とはそれらの特徴が異なるため、別の種の可能性が高いです。
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[図3.アナログ盤面のチョウの分類 A種:ピンク, B種:黒, C種:紫] |
以上のことより、このアナログのデザインに描かれた幾つかの蝶は、確認出来るだけでもどうやら3種類いるようです。
よって、C-1, C-2, L-2, L-4をA種、L-1とL-3をB種、L-3をC種とし、それぞれ同定を試みてみます。
形態的特徴に基づいて分類を試みる:分析と結果
A種について
[図.ラブリーRSEアナログ盤に描かれたA種のイラスト C-1, C-2, L-2, L-4]
A種は、後翅の縁に大小の突起があり、特に後翅から斜め後方に伸びる長い突起(尾状突起)があることから、アゲハチョウ科(アゲハチョウの仲間)だと考えられます。
また、全体的に黒っぽい濃い色をしていますが、前翅に特徴的な翅脈が見えます。
これはL-2の左前翅が一部黒っぽく見えていることから、全体的に黒っぽいが光の反射により翅脈が透けて見えているものと思われます。
その他の特徴としては、後翅に白い斑点が列を成していて、翅を縦断する白い帯状の模様を形成しています。
これはシロオビアゲハもしくはベニモンアゲハの特徴であることから、A種はシロオビアゲハもしくはベニモンアゲハであると考えられます。
ベニモンアゲハはシロオビアゲハ同様に後翅に白い帯状の模様を形成していますが、後翅の縁に紅色の斑点が幾つもあるのが特徴です。
シロオビアゲハにはベニモン型というベニモンアゲハに擬態する個体が存在します。
これはベニモンアゲハが毒性のある餌を好んで食べることから体に毒を蓄積しており、ベニモンアゲハを食べた動物はその毒で食べたものをすべて吐き出すため、一度食べると二度と食べようとしないことを利用し、擬態をすることで自らの身を守っているのだそうです。
シロオビアゲハが毒蝶を真似するときの条件 ~擬態の進化学的パラドクスを解明~ | 琉球大学ベニモンアゲハの方がベニモン型のシロオビアゲハよりも紅色の斑点が大きいのが特徴ですが、対象は色が不明なためどちらの種であるかどうかの判別は難しいところです。
以上のことから、A種はシロオビアゲハもしくはベニモンアゲハであると考えられます。
B種について
[図.ラブリーRSEアナログ盤に描かれたB種のイラスト L-1とL-3]
B種は、白地に黒のまだら模様が特徴的です。
また、翅は放射状の黒っぽい筋がくっきりと見えます。以上のことから、B種はオオゴマダラであると考えられます。
C種について
[図.ラブリーRSEアナログ盤に描かれたC種のイラスト C-3]
C種は、前翅、後翅ともに全体的に単色で明るい色であることが特徴です。
白いチョウ、シロチョウ科の仲間である可能性があります。
また、C-3はチョウを左側面から見たものであると考えられます。前翅外縁には色の濃い部分が三角形状に存在しています。
これはモンシロチョウもしくはモンキチョウの特徴を有しています。
なお、モンシロチョウとモンキチョウは非常によく似ていますが、モンシロチョウは前翅外縁の黒色部に白い紋が無いのが特徴で、それに対しモンキチョウは前翅外縁の黒色部が広く、中に白色(黄色)の紋があるのが特徴です。
参考:モンキチョウ(国土交通省)
それを踏まえてC種をみてみると、C種は前翅外縁の黒色部に白い紋がみられないことから、C種はモンシロチョウまたはオオモンシロチョウである可能性が高いと考えます。
また、オオモンシロチョウのように外縁の半分以上を占めるほど前翅の尖端の黒斑は発達していないことから、モンシロチョウである可能性が高いと考えます。
参考:モンシロチョウ(国土交通省)
(※前縁がオレンジ色をしている同じシロチョウ科のツマベニチョウである可能性も考えられますが、ツマベニチョウであれば前翅の縁が黒くなければならないため、単色で塗潰されているC種はツマベニチョウではない可能性が高いと考えられます。)
また、後翅前縁にも濃い斑点を有していることから、タイワンモンシロチョウの可能性もあります。
前翅に後翅が折り重なるようになっているため、モンシロチョウに特徴的な前翅の中央に見られる黒い斑点が見えないのが残念です。
いずれにせよ、シロチョウ科、それもモンシロチョウの仲間であることは間違いは無さそうです。
以上のことから、C種はシロチョウ科のモンシロチョウの仲間であると考えられます。
まとめ
以上のことから、小沢健二『ラブリーRemaster Short Edit』アナログ7インチ盤に描かれたチョウは少なくとも3種が存在し、その3種はシロオビアゲハもしくはベニモンアゲハ、オオゴマダラ、モンシロチョウの仲間であると考えられます。
余談:撮影場所について
ところで、これらのチョウの生息域を調べてみると、大変興味深いことが分かりました。
モンシロチョウの生息域は広く日本全土に分布していますが、その他のチョウは生息域が限られていました。
ベニモンアゲハやシロオビアゲハの日本の生息地は沖縄を含む南西諸島でした。
また、オオゴマダラは沖縄県の県蝶で、日本の生息地は沖縄を含む南西諸島でした。
ということは、これらは沖縄を含む南西諸島で撮影された可能性が高いと言えます。
そう言えば、小沢健二さん、昨年の正月に沖縄に行かれていましたね。
その時に撮影されたのでしょうか...?
もしかしたら、この時の沖縄旅行はチョウを撮影するのが目的だったりして...?
※本ブログ記事は、昨年12月にアナログジャケットのデザインが公開された際に私がチョウについて考察した以下のツイートを基に作成しました。
このアナログの絵、真ん中や左にいる蝶はシロオビアゲハかな...?それかベニモンアゲハか、ベニモンアゲハに擬態したベニモン型のシロオビアゲハか。日本の生息地は沖縄を含む南西諸島。
— 🦭ペ ジ NO す け 🐢💥🛸 🌈✨ھ(越前 平° 次之助 麻布六本木町饂飩坂前) (@Qroocklyn) December 20, 2022
右端のは...沖縄県の県蝶のオオゴマダラかな。日本での分布域は喜界島、与論島以南の南西諸島。#ラブリーRSE https://t.co/Vziok9Vzxc pic.twitter.com/s4k26fW4Yj
参考文献・サイト
牧林 功 1978『チョウの形態―同定のための基礎知識』ニュー・サイエンス社
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